遺産相続をめぐる家族の揉め事をさけるには、遺言書をつくることがひとつの解決策です。
ひとり社長ともなると会社員に比べ、いろいろな厄介ごとが増えそうですよね?
遺言書は自分でつくることもできるが、公証人と一緒につくる『公正証書遺言』がお薦めです。
家族が揉めないように遺言を公正証書にする!
とある60歳代の男性は昨年、遺言を書くことにした。
2歳年下の妻は、数年前の脳梗塞の後遺症で意識がなかった。
自分に何かあったとき、同居する長男と遠方で暮らす長女の間で、相続をめぐるトラブルが起きたら困るし嫌だと考えたからです。
公正証書遺言をつくりましょう
遺言には、自分で遺言を書く『自筆遺言』と、全国にある公証役場で、裁判官OBなどの公証人とつくる『公正証書遺言』があります。
『自筆遺言』の場合、自分で手軽に書くことができわけですが、内容に不備があれば無効になる恐れがあります。
『公正証書遺言』は、依頼者が内容を口述し、公証人に文書をまとめてもらうので、確実に効力を発揮するという点で安心感があります。
ということで、男性は『公正証書遺言』をつくることにしました。
遺言の内容は、自分の財産を「誰に、どのくらい残すのか」を記すのが、一般的です。
男性の場合、自宅兼事務所と中古アパートなど不動産が計約1億800万円。
そのほか預貯金などの金融資産が計約4000万円。
よって、遺産分割の対象となるのは、計約1億4800万円でした。
実際に『公正証書遺言』をつくるには、地元の公証役場へ行って、事前に公証人と打ち合わせをします。
手間ですが、遺言の文面を決め、法的に間違いのないものにするためです。
本人確認ができる印鑑登録証明書や、相続人との関係がわかる戸籍謄本などが必要になります。
財産の中に不動産があるなら、登記の証明書も求められるため、事前に準備しておきましょう。
また、公正証書の作成当日には証人2人が必要になることも忘れてはいけません。
相続人は対象にならないため、信頼できる友人らに頼むか、あてがない場合は公証役場に紹介を頼むことも可能です。
作成当日は、公証人が、
- 本人と証人2人の前で遺言の内容を読み上げる。
- 内容に間違いがなければ、本人と証人の3人が、証書に署名、押印して完成。
原本は公証役場で保管してもらえるので、なくしたり、改ざんされたりする心配はありません。
正本と謄本は本人に手渡されます。
内容によって異なりますが、A4サイズの用紙6枚ほどが一般的です。
『公正証書遺言』の作成には、書類の準備などに手間がかかることもあり、長いと1か月くらいかかってしまいます。
具体的な預金や不動産の額は書かれていないため、額が変わっても書き換える必要はありません。
男性や家族は「これでホッとした、、、」とのこと。
遺言をつくるときはまず、、、
遺言をつくるときはまず、目的をはっきりさせておくことが大事!なことになります。
特定の人に財産を残すのか、家族がもめないようにしたいのかによって、遺言の内容は変わります。
遺言者の意思を確実に実現するためには、遺言に従って不動産の名義変更などの手続きを行う遺言執行者も決めておきたいところです。
相続人ごとに手数料がかかる
『公正証書遺言』をつくるには、遺言に記す財産の額や相続人の数によって手数料がかかります。
たとえば、相続人が1人の場合、財産が100万円以下なら手数料は5000円。200万円以下だと7000円などと決まっています。
手数料は、財産の合計額ではなく、相続人ごとにかかるため、複数の場合はそれぞれにかかる手数料の合計額になります。
さらに、全体の財産が1億円以下の場合は、遺言加算もかかります。
このほか、公証役場を通じて証人を紹介してもらった場合の費用などもあります。
また、遺言の内容や手続きについて、弁護士や行政書士などの専門家に相談するなら別途、相談費用がかかってきます。