人生100年時代を迎え、「公的年金だけでは老後は心もとない・・・」と感じている現役世帯は、非常に多いです。
老後2000万円問題なんて話題もありましたよね?
60歳代でリタイアする場合、老後に向けた蓄えは一体いくら必要なのか。
40~50歳代の共働き世帯を例に、考えてみましょう。
年金受給額-想定生活費=?
東京都内の会社員、Aさん(45)は最近転職し、年収が300万円から220万円に減った。
ひとり社長の夫(50)は年収700万円。
世帯の貯蓄は、800万円ある。
でも、中学2年の長男(14)の教育費もかかる。
Aさんはこの先大丈夫なのかと、老後の備えに不安を感じ始めたところです。
具体的な数字で不安を解消する!
不安の解消には、老後にかかるお金を具体的な数字で、しっかりイメージしながら確認することが大切です。
その方法を順を追って説明していきましょう。
- まず、今の支出を踏まえ、老後の生活費の大まかな見通しを立てる。
老後は子どもが自立し、現役時代の8割ほどの支出で済むと言われています。
総務省の家計調査報告によると、高齢夫婦の支出は月平均約26万4000円。
また、生命保険文化センターの調査では、ゆとりのある暮らしには世帯で同約35万円が必要とされる。
こうした数字を参考にしつつ、Aさんは老後の生活費を月35万円と見積もった。 - 次は老後の収入。
主な収入源となる年金の見込み額は、日本年金機構の『ねんきんネット』で調べられる。
50歳以上の人は、毎年誕生月に届く『ねんきん定期便』でも確認できる。
Aさん夫婦の合計年金額は、月約27万円だった。
想定支出の35万円に対し、年金の27万円だけでは月8万円足りない。
人生100年時代を見越し、夫が65歳で定年退職してから30年分を考えると、計2880万円不足する。 - 定年までに見込まれる大きな支出も確認しよう。
住宅や車、教育費などが挙げられる。
Aさんの家族は賃貸住まいで、住宅購入の予定はない。
車は定年までにあと1回買い替え、100万円かかると想定した。
負担が大きそうなのが、長男の教育費。
『日本政策金融公庫』の調査では、私立大学文系に通うのに必要な入学費と4年間の在学費の合計は、平均約738万円。
Aさんは、長男の高校の教育費までは家計のやりくりで対応するが、大学の分は700万円を別途用意する必要があると考えた。 - 定年時に夫婦それぞれが退職金をもらえる。
見込み額は会社の担当部署に確認するとよい。
Aさん世帯の場合、夫約1900万円、妻約300万円、計約2200万円だった。
定年までの大きな支出の計800万円(=車買い替え100万円+大学分700万円)は、今ある貯蓄(800万円)と相殺でき、退職金約2200万円はそのまま手元に残ります。
老後の収支で、2880万円のマイナス。
退職金(約2200万円)を考慮しても、あと680万円足りない計算です。
この680万円を夫(45)の退職(60)までの15年間で用意するには、月約3万8000円の貯蓄を続ければイイ。
Aさんは「これなら、やりくり可能な範囲です」と胸をなで下ろしました。
費用の見直し&定年後も働く
同じ手順を踏めば、大抵の家庭で老後の不足額がわかります。
この不足額が大きく、現役時代の貯蓄だけでは追いつかない場合は・・・さて、どうしたものでしょうか?
この場合に提案できる対策としては、
- 学費の一部を奨学金でまかなう
- 車や住宅、保険などにかかる費用を見直す
- 定年後も仕事を続ける
などが考えられます。
また、iDeCo(イデコ)などを活用して資産を運用することを検討しても良いでしょう。
老後はケガや病気などで、突発的に大きな費用が必要になることもあります。
余裕のある資金計画を早めに立てることが大切です。