高齢で身の回りのことが自分で出来なくなった場合には、介護保険のメニュー以外にも、保険外のサービスをあわせて利用するという選択肢もあります。

保険外のサービスなので費用は全額自己負担となりますが、介護保険のメニューと組み合わせて上手く利用することで、生活の質の向上が望めます。

これは、あなたが高齢になった時だけの話ではなく、今すぐもしくは近い将来にやってくるかもしれない、ご家族の介護の話でもあります。

介護保険外サービスが生活の質を向上させる?!

こんなケースがあります、、、

もの忘れがひどくなってきた。腰やひざが痛む。立ち仕事もできない。

デイサービスなどを利用している。

でも、要介護度は“2”と軽度だから、デイサービスなどを毎日は使えない・・・。

介護の保険外サービスとは?

介護保険は要介護度に応じて、受けられる給付サービスの限度額(区分支給限度基準額)が設定されています。

なので、要介護度が軽ければ限度額も低くなる。

そのため、必然的にデイサービスなどの利用回数や利用時間は少なくなります。

こうしたケースでは「介護保険サービスがカバーする範囲はごく一部なので、生活の質を確保するためには、幅広いニーズに対応できる保険外サービスを活用することが重要」になります。

代表的な保険外サービスとしては、宅配給食、ゴミ出し、大掃除、庭木の刈り込みなどがあります。

宅配給食の費用は地域や業者にもよりますが、1食300円程度からです。

宅配給食は定期的に利用すると、簡単な安否確認にもなるため、一人暮らしの高齢世帯にはメリットも多いサービスです。

ゴミ出しは、シルバー人材センターなどがワンコイン(500円)程度で代行してくれるだけでなく、自治体や業者、ボランティアが無料で支援している地域もあります。

とある70代の女性は、、、

デイサービスも訪問介護もない日に、食事の支度に不安があるため、宅配給食(1食400円)を利用する。

さらに、自治体や地域のNPO(非営利組織)などが開催する生涯学習や体操教室に週1回通い、体を動かすようにする(こういった「サロン」は、無料か安価な料金で参加できることが多いです)。

、、、こういう組み合わせで活用しています。

ただ、保険外サービスを過剰に利用することは、自立支援という観点からは避けたほうがイイです。

この女性のケースでは、利用している保険給付サービスの自己負担額(1割)が月約2万円なので、保険外サービスの月額利用料は、最大でも同程度(約2万円)に抑えるのが望ましいです。

業者と価格、見極めが必要!

保険外サービスは、ケアマネージャーが作成するケアプランに基づいて提供される介護保険のメニューとは異なり、介護事業者以外も提供が可能です。

利用にあたっては、料金やサービス内容の確認、業者選びなどの注意点もあります。

高齢人口の増加に伴い、今後、保険外サービスは次から次へと生まれることが予想されます。

認知機能が低下している高齢者には、業者に薦められるがまま、必要性の薄いサービスを割高な料金で契約してしまう危険性がありますので、、、

「サービスを提供する業者がどんな業者か、適正な価格設定と契約内容か、きちんと見極める必要があります。契約の際には、家族などに立ち会ってもらうことがリスク管理につながります」

ただ、初めて保険外サービスを利用する場合、信頼できる業者をどうやって探すのかは、悩ましい問題です。

地域によっては、手掛ける業者が少なく、サービスの選択肢が限られる場合もあります。

介護保険の給付サービスを利用している場合は、担当してもらっているケアマネージャーに相談するのがひとつの手です。

これは、給付サービスの延長線上で保険外サービスを組み合わせる場合、適正に管理するのはケアマネージャーの役割と言われているからです。

ケアマネージャーの限界・・・

介護の総合相談窓口として、最寄りの地域包括支援センターも利用できますが、保険外サービスは多様なため、行政やケアマネージャーなどが実情を把握しきれていない地域もあります。

自治体独自の取り組みもあります。

たとえば、福岡市は保険外サービスを提供する業者や料金体系、サービス内容などをまとめたサイト『ケアインフォ』を通じて情報提供をおこなっています。

こういったことも参考にしてください。