商品を値引きした&商品を値上げした場合のインパクト
以下の条件で、シンプルに考えてみましょう。
- 販売価格:4000円/個
- 仕入価格:2400円/個
- 固定費:1200万円/年
ということは、、、
- 商品1個を販売したときの粗利益:1600円(=4000円-2400円)
- 固定費を回収するために必要な商品販売数:7500個(=1200万円÷1600円)
同じ商品を400円(1割)値引きして販売すると・・・
- 商品1個を販売したときの粗利益:1200円(=3600円-2400円)
- 固定費を回収するために必要な商品販売数:10000個(=1200万円÷1200円)
- 販売価格を1割値下げしたときに必要な販売数の増加数:2500個(10000個-7500個)
- 販売価格を1割値下げしたときに必要な販売数の増加率:33%増加(10000個÷7500個×100≒133%)
同じ商品を400円(1割)値上げして販売すると・・・
- 商品1個を販売したときの粗利益:2000円(=4400円-2400円)
- 固定費を回収するために必要な商品販売数:6000個(=1200万円÷2000円)
- 販売価格を1割値上げでカバーできる商品販売減少数:1500個(=6000個-7500個)
- 販売価格を1割値上げでカバーできる商品販売減少率:20%(=6000個÷7500個×100)
ひとり社長のあなたが考えるべきこと
上記の例において考えなければいけないのは、一割値下げをして販売したときに、2500個多く販売することができるのかどうか、ということです。
安易に低価格路線に進もうとする社長が実に多いですが、その多くは比較的早い段階でボロボロの状態になります。
低価格路線は、どんな大手企業でも疲弊し、ボロボロになります。
資金力があれば、「しばらくの間は耐えることができる」というだけであって、必ず失敗します。
それが、値引きや安売りの怖いところです。
販売価格を半額にしたからと言って、2倍売れるわけではありません。
そのわかりやすい例が、牛丼チェーンと居酒屋チェーンです。
彼らは業界全体で、低価格路線・安売り競争に突入していきました。
結果は散々たるもの・・・。
しかも、彼らは愚策に愚策を重ねました。
上記の価格を例にすると、販売価格の推移はこんな感じのことをやっていました。
- 4000円→3000円→3600円
4000円から3600円を見れば、値引きしています。でも、間に3000円での販売を挟んでしまったので、3000円から値上げをして3600円となった。
つまり、高くなったと見えてしまったわけです。
お客さんは、3000円のときに商品を買って、3600円では買わないという行動をとります。
コレ、消費者心理からすれば、当たり前ですよね?でも、現実にこういう価格の推移でビジネスをしたわけです。
最大の問題・・・
もっとも気をつけなければいけないことは、価格で勝負するビジネスをしない!ということ。
価格で勝負をするということは、ライバルと差をつけるポイントが価格しかないと、自ら認めているということです。
安さ勝負(や値引き)は、自ら粗利益を削る「自滅」行為だと知ってください。
ただ、それでも「値引きをすれば売れるんじゃないか?」と思ってしまうものです。
そんなときは、上記のように数字を出して、「本当にこれだけ多く(上記の話なら、2500個も多く)売れるのか?」という現実を直視してください。
※注意※
一時的なセールと今回の話は状況が違います。
状況によっては、値下げをして、商品を売り切ってしまった方が良いこともあります。