個人事業主が青色申告で節税する方法
個人事業主が納める税金は、所得税。
(法人は、法人税)
所得税の確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類の申告制度があります。
納税についての優遇措置を受けることができるのは「青色申告」で、節税を考えるなら、青色申告は必須です。
税金面でのメリットを手にするための青色申告は、「所得税の青色申告承認申請書」を所轄税務署へ提出するだけで、青色申告の適用を受けることができます。
ただ、会計帳簿の作成が義務付けられているので、面倒だったとしても、会計帳簿の作成をやらなければいけません。
※平成26年1月以降は白色申告でも、(簡易な)帳簿をつくらなければならなくなりました。青色だろうと白色だろうと会計帳簿をつくる必要はあるので、それならば、優遇を受けられる青色申告を選ぶべきです。
青色申告5つのメリット
青色申告で受けることができる5つのメリットは、次の通りです。
- 青色申告特別控除
- 家族への給与の経費計上
- 貸倒引当金の計上
- 純損失の繰越控除
- 少額減価償却資産の特例
5つのメリットを手にするための注意点として、「所得税の青色申告承認申請書」の提出に期限がもうけられていることが挙げられます。
青色申告の適用を受けるためには、適用を受けたい年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出しなければなりません。
たとえば、平成30年(2018年)の確定申告で青色申告の適用を受けたいのであれば、平成30年(2018年)3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出することになります。(新規開業の場合は、事業開始日から2か月以内に提出です)
翌年の3月15日ではないので、注意してください。
1. 青色申告特別控除
青色申告における一番のメリットが「青色申告特別控除」です。
白色申告の場合、売上から必要経費を差し引いた金額が所得となり、この所得に税率をかけます。
一方、青色申告の場合、売上から必要経費を差し引いた金額から、さらに(最大で)65万円を差し引くことができるのです。
この金額が所得となり、これに税率をかけて税金の額を算出します。
この65万円を差し引くことができるだけで、税金の金額は大きく変わります。
ただ、税金の額に大きなインパクトのある、65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、次の3つの要件を満たさなければなりません。
65万円の青色申告特別控除を受けるための3つの要件
- 複式簿記で会計帳簿を作成すること
- 貸借対照表を確定申告書に添付すること
- 申告期限内に確定申告書を提出すること
複式簿記による会計帳簿ではなく、簡易な帳簿の場合には、貸借対照表の作成が困難になり、確定申告書に添付することができません。
よって、青色申告であっても、65万円ではなく、10万円の控除となってしまいます。
2. 家族への給与の経費計上
たとえば、、、
夫婦のどちらかが個人事業主としてビジネスをしている。そして、もう一方は、そのビジネスを手伝っている。
、、、といった場合に、原則として、事業主がもう一方に支払った給与は、必要経費になりません。
ただ、これはあくまでも「原則として」です。
家族に支払った給与を必要経費にするためには、青色申告をしている個人事業主が、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出することが必要になります。
じゃあ、青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出すれば、それでイイのかというと、そうではありません。
他にも要件があります。
家族への給与を必要経費にするための6つの要件
- (家族への給与を)必要経費にしたい年の3月15日までに、青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署に提出すること(新たに開業した場合や新たに専従者がいることになった場合は、開業の日や専従者がいることになった日から2か月以内)。
- 青色事業専従者給与に関する届出書に記載した範囲内の金額を、届出書に記載した方法で支給すること(仕事内容に対して過大な給与部分は認められない)。
- 事業を手伝う家族が、1年のうち6か月を超える期間、事業に従事していること
- 事業を手伝う家族の(その年の12月31日現在の)年齢が15歳以上であること
- 事業を手伝う家族が、学生ではないこと
- 事業を手伝う家族が、他に職業をもっていないこと
3. 貸倒引当金の計上
売上代金の回収を入金サイクル通り、無事完了していればイイのですが、相手方の都合(倒産etc.)によって、代金の回収ができない事態も起こります。
こういった場合、会計上、売掛金がそのまま残ることになります。
売掛金の回収ができなくなるこの状態が「貸倒れ」です。
売掛金の回収ができないことによる問題は、2つ。
ひとつは、キャッシュ・イン(入金)がないということ。
売上代金の入金がないので、売上を上げるためにかかった経費の支払い分だけ、手元資金が減ります(支出はあっても、収入はない)。
ふたつめは、売掛金の金額分はその年の売上として計上され、所得を算出する計算に盛り込まれるので、その分の税金も支払うことになる、ということ。
つまり、代金をもらえない売上についても、税金の負担はある、ということです。
こういった売上代金の回収ができなくなる「貸倒れ」による税金の負担を緩和するために、その年の売上(売上高)のうち、12月末日時点における売掛金の未回収分については、決められた方法で計算された「回収不能見込額」をその年の必要経費として計上できます。
この時に計上できる必要経費にあたるのが「貸倒引当金」です。(※必要経費として計上するときの勘定科目は「貸倒引当金繰入額」)
貸倒引当金の計算方法
売掛金etc.の回収不能見込額(=貸倒引当金)の計算は、次の通りです。
なお、計算する時、相手方の経営状況などによる貸倒れリスクを考慮する必要はありません。
- (その年の12月31現在の売掛金、受取手形、未収金、貸付金の帳簿残高の合計額)× 5.5%
※金融業の場合、3.3%。
※貸倒引当金の計上は、洗い替え法を用いる。
4. 純損失の繰越控除
通常通り(災害を原因とする特別な場合を除く)事業をおこなう中で赤字になった場合、その赤字は、赤字が発生したその年度だけでの扱いとなり、他の年度における税額計算に影響はありません。
しかし、青色申告をおこなっている場合では、事業で赤字になったら、その翌年から3年間にわたり、その赤字の金額を繰り越すことができます。
そして、繰り越した赤字は、その3年間において、黒字(儲け)から控除することが認められています。
これが「純損失の繰越控除」です。
純損失の繰越控除の仕組み
たとえば、1年目が赤字500、2年目が黒字100、3年目が黒字200、4年目が黒字300だとしましょう。
もし、純損失の繰越控除がなければ、2年目は「黒字100×税率」で算出された税金を支払います。3年目は「黒字200×税率」、4年目は「黒字300×税率」で算出された税金をそれぞれ支払います。
でも、純損失の繰越控除があれば、2年目は、1年目の赤字500と2年目の黒字100を相殺できるのです。
さらに、3年目は、繰り越された赤字分400(=500-100)と、3年目の黒字200を相殺。
そして、4年目は、繰り越された赤字分200と4年目の黒字300を相殺。
4年目は、3年前に発生した赤字分がなくなり、黒字100(=300-200)が残ります。
よって、この残り100の所得に対して課税されることになります。
これが、「純損失の繰越控除」の仕組みです。
純損失の繰越控除の適用を受けるための3つの要件
- 青色申告であること
- 確定申告書を提出期限内に提出すること
- 翌年度以降も継続して毎年確定申告書を提出すること
ちなみに、赤字は翌年以降に繰り越すだけではなく、繰り戻すこともできます。
たとえば、「前年は黒字だったので、税金を支払った。今年は赤字になってしまった。」というケースの場合、前年の黒字と当年の赤字を相殺することができるのです。
しかも、前年の黒字と今年の赤字を相殺し、税金の再計算をすることで差額が生じた場合には、前年分の所得税の還付を受けることができます。(これを「純損失の繰戻還付」と言います)
5. 少額減価償却資産の特例
白色申告の場合、資産の購入時点で必要経費として計上するには、次の2つである場合に限られます。
- 使用可能期間が1年未満のモノ
- 取得価額が10万円未満のモノ
青色申告の場合には「取得価額が10万円未満のモノ」という条件が、次のように変わります。
- 取得価額が30万円未満のモノ
つまり、10万円以上のモノであっても、30万円未満であれば、資産を購入した年に全額必要経費にできるということです。
ただし、全額必要経費にできる金額(総額)には、上限があります。
無制限で認められるわけではありません。
上限は、その年において10万円以上30万円未満の資産購入金額の総額が、300万円までとなっています。
購入金額の判定方法
基本的には、消費税込みの金額で判定します。
つまり、消費税込みで、取得価額が30万円未満ということです。
ただし、例外として、消費税の納税義務があり、会計帳簿の作成を税抜経理でおこなっている場合には、消費税抜きの金額で判定します。
確定申告書に添付する資料と記載事項
青色申告であれば受けることができるこの特典を手にするには、次の要件があります。
- 青色申告決算書3ページ目にあたる「減価償却費の計算」の表に、取得価額が30万円未満の購入資産を記載すること
- 「減価償却費の計算」の表にある「摘要欄」に、「措法28の2」と記載すること
上記2点を記載することは、必須事項なので、要注意です。
ここで挙げた「青色申告5つのメリット」を上手に活用すれば、数万円か数十万円か、それともそれ以上の節税になるかも。
いずれにせよ、大きな節税効果を期待することができるのです。
個人事業主が自宅家賃と水道光熱費で節税する方法
個人事業主の場合、「売上ー必要経費」で所得(儲け)の金額を出し、「所得(儲け)×税率」で納税額を算出します。
この計算をおこなう以上、節税しようとするなら、必要経費の計上が大きく影響します。
事務所や店舗をもつことでかかる経費(=固定費)は、必要経費として計上することができます。
では、自宅でビジネスをする場合の必要経費はどうなるのでしょうか?
自宅の家賃や水道光熱費を必要経費にするには?
事務所や店舗でビジネスをするなら、その場所にかかる経費は、基本的に必要経費として計上することができます。
一方、事務所や店舗をもたないビジネスの場合、事務所や店舗の代わりとなるのは、自宅。
その自宅の一部を仕事用のスペースとして使っている場合、その使用にともなう支出を必要経費として計上することができます。
必要経費として計上できる自宅の支出とは?
一般的に、必要経費として計上することができる主な支出は、次の通りです。
- (賃貸物件の場合の)家賃
- (自己所有物件の場合の)固定資産税
- 自宅に設置され、使用している固定電話料金
- 水道、電気、ガス料金などの水道光熱費
- インターネット利用に必要なインターネットプロバイダー料金
- (自宅のために加入している)火災保険料
上記は、あくまでも主な支出であって、上記だけということではないので、注意してください。
店舗ビジネスにおける自宅にかかる支出の取り扱い方
店舗ビジネスの場合、店舗にかかる経費であれば、当然、計上できますよね。
実は、店舗ビジネスの場合であっても、自宅の支出を必要経費にすることができるのです。
もちろん、すべての仕事(業務)が店舗内で済んでいるのであれば、自宅の支出は必要経費になりません。
では、どういったケースで必要経費にできるのか、というと、、、一番わかりやすいのは、事務作業・事務処理は自宅でやっているというケースです。
たとえば、経理処理であったり、ネットバンクを利用した振り込み処理であったり。
このほかにも、請求書の作成などを自宅でやっているのであれば、自宅の支出を必要経費にできます。
これは、実質的に自宅を事務所(オフィス)として、事業に使用しているということになるので、必要経費にできるのです。
案分計算で必要経費を算出する
自宅の支出を必要経費として計上する場合、問題になるのは、どの程度経費として認められるのか、ということです。
もちろん、全額経費に!というのは、無理があります。
自宅は、あくまでも生活のための使用が主体です。
事業での自宅使用は、一部でしかありませんから、必要経費に計上できるのは、生活費分と事業での使用分を按分計算した、事業での使用分のみです。
では、具体的にどのように案分計算するのかというと、、、賃貸物件の家賃や自己所有物件の固定資産税を案分計算では、面積比を使います。
その物件全体の延べ床面積のうち、常時仕事で使用しているスペースの面積が占める割合で、計算します。
たとえば、全体の延べ床面積が100㎡、仕事スペースの面積が20㎡だったとしたら、必要経費に計上できる割合は、1/5(=20%)です。
よって、必要経費に計上できる金額は、「家賃(や固定資産税)× 1/5」で算出される金額です。
その他の支出(水道光熱費etc.)も同じように、全体のうち、仕事で使用している割合を求めて、案分します。
個人事業主が開業前に購入した自家用車で節税する方法
開業・起業するとき、「事業に必要なものをすべて新しく購入すべきか」というと、そんなことはありません。
もともと持っていたものを使いまわせるなら、その方がイイです。
特に、車やパソコンといった、高額の資産なんかは、、、わざわざ貴重な事業資金を投入する必要なんてありませんよ。
開業以前に購入した自家用車を必要経費にするには?
業務内容や自宅・事務所・店舗の立地条件によっては、自動車の利用が不可欠ということがあります。
そして、自動車を利用すれば、ガソリン代がかかります。
このガソリン代は、当然経費になるわけですが、じゃあ、自動車本体自体の扱いはどうなるのかが、問題です。
事業開始後に購入した業務用車であれば、当然その購入価格は、必要経費として計上することができます。
では、事業開始前(開業前)に購入した自動車は、どうでしょうか?
もし、すでに購入済の自家用車を必要経費として計上できれば、大きな節税になります。
これは、新たに業務用として車を購入するよりも、大きな節税です。
なぜなら、手元にある事業資金に手を付けずに済む、節税だからです。
購入済の自家用車を必要経費にする方法
結論から言うと、事業開始前(開業前)に購入し、プライベートで使用していた自家用車も、必要経費になります。
その方法は、事業用資産として使用を開始する時点での資産価値を算出。
そして、算出した価値を減価償却によって、耐用年数に応じた期間で経費として計上していきます。
自家用車を必要経費にするためにおこなう計算の大まかな流れは、次の通りです。
自家用車として購入した時点から事業用として使用するまでの間に(時間の経過とともに)価値が減少しています。
なので、まずはその減少した価値を算出する。
次に、車の購入金額から減少した価値(金額)を引いて、事業用として使用し始める時点での価値を算出する。
資産の未償却残高を算出する3ステップ
前述の自家用車を必要経費にするための大まかな流れを具体的な手順に落とし込むと、次のような3つのステップになります。
- イメージしやすいように、次の条件と仮定します。
・・・購入価格300万円・耐用年数6年・自家用車としての使用期間2年
1. 耐用年数を1.5倍した償却率(旧定額法償却率)を求める。
・・・6年×1.5=9年(償却率=0.111)
2. 業務使用開始前の期間を確認し、その期間の減価償却費を旧定額法により計算する。
・・・300万円×0.9×0.111×2年=599,400円
※業務使用開始前の期間=6か月以上の端数は1年、6か月未満の端数は切り捨て
※旧定額法の計算方法=取得価額×90%×旧定額法の償却率(漁業権や特許権などの無形固定資産は、90%乗じる必要がありません)
3. 購入金額から前ステップ「2」で計算した金額を差し引いて、未償却残高を算出する。
・・・300万円ー599,400円=2,400,600円
算出した未償却残高2,400,600円をもとに、減価償却の計算をおこなっていきます。
今回は、自動車を例に、プライベート利用していた資産を必要経費に計上して、節税する方法をお伝えしました。この方法は、自動車に限った話ではなく、パソコンなどでも活用できます。
個人事業主が退職金を小規模企業共済で準備して節税する方法
個人事業主が生命保険に加入する主な目的は、次のとおりです。
- (自身が亡くなった場合の)家族の生活保障
- 病気やケガの治療費
- 介護費用の備え・準備
- 老後の生活資金の備え・確保
個人事業主のための小規模企業共済って、何?
個人事業主の場合、上記目的のために生命保険に加入しても、その節税効果はあまり期待できず、場合によっては自分のクビを絞めかねません。
なぜなら・・・
- 生命保険料の支払い額は、事業の必要経費にならない。
- 生命保険料の控除額は、一般の会社員と変わらない。
- 生命保険料控除は、生命保険・介護保険・年金保険の3区分合計で、12万円が上限。
- 生命保険料控除は、3区分それぞれ4万円が上限。
個人事業主はリスクへの備えとして保険に加入することが必要になる場合もありますが、節税という面では効果が限定的です。
仮に多くの保険料を負担しても経費にならず、資金繰りの悩みを抱える原因になるばかり・・・
そこで、保険を検討する場合には、次の3点を総合的に評価する必要があります。
- 節税効果(支払保険料が経費になる)
- 将来の資金の備え
- 現状の資金確保・資金繰り
この3点を考慮したうえで選択した保険であれば、極端な話どんな保険でも問題ありませんが、そんな都合のイイ保険はそうそうありません。
そこで紹介するのが、国の政策として個人事業主や中小企業を支援するための「小規模企業共済」です。
小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構が取り扱っている共済制度で「事業主本人のための退職金を積み立てておく」ためのものです。
会社員であれば、退職する時に会社から退職金を受け取ることができます(現実は退職金をもらえる会社は多くありませんが・・・)。
個人事業主(や中小企業の経営者)には、自分で準備しない限り、退職金はありません。
なので、あなたが、事業の廃業(引退)後を見据えるなら、税金を支払った後に残った手元資金の中から老後資金(退職金)を準備する必要があるのです。
小規模企業共済の7つのメリット
- 掛け金は、月額1000円から7万円の範囲で自由に選べる。
- 支払った掛け金は、全額所得控除の対象になる。
- 廃業時の共済金受け取りを一括か分割かを選べる。
- 一括受け取りは退職所得扱いになる。
- 分割受け取りは雑所得扱いになる。
- 退職所得扱い・雑所得扱いなら、納税負担が軽減される。
- 掛け金の年払いを選ぶことができる。
掛け金の支払いは、通常、月払いですが、年払いも選べます。
そこで、12月中に1年分の掛け金を年払いして、小規模企業共済に加入することで節税対策ができます。
納税と老後資金(退職金)の積立を同時におこなうことは、あなたに重くのしかかるほどの負担になります。
軽い負担ではすみません。
小規模企業共済は、その負担をカバーするための共済制度です。
個人事業主が経営セーフティ共済で節税する方法
中小企業庁が「中小企業白書」で公表している倒産理由の上位3つは、次の通りです。
- 販売不振
- 既往のしわよせ
- 連鎖倒産
個人事業主が連鎖倒産に備えつつ節税できる制度とは?
「販売不振」「既往のしわよせ」は、自社の経営戦略や戦術の問題なので、あなた主導で対策をとることができます。
一方で「連鎖倒産」が抱えている問題は、そう簡単なものではありません。
なぜなら、連鎖倒産の場合、(たとえば)元請け・下請け・孫請けのような、業界の構造そのものの影響を受けてしまうからです。
業界のタテのつながりだけが連鎖倒産を引き起こすわけではありません。
ヨコのつながりでも連鎖倒産は起きてしまいます。
取引先から売上代金の回収ができなくなって、今度は自分の支払いが滞ってしまうこともあります。
個人事業主の場合、こういった事態に備えた十分な資金力があるかと言うと・・・
多くの個人事業主は「NO!」と答えるでしょう。
そんな個人事業主のために、国は支援対策をおこなっています。
それが「中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)」です。
経営セーフティ共済の仕組み
経営セーフティ共済は、個人事業主(や中小企業)の取引先が倒産した場合に起こる「売上代金の回収ができないことによる連鎖倒産」や「資金繰りの悪化による経営難」に備えるための共済制度です。
経営セーフティ共済では、共済掛金を積み立てておくことで、取引先の倒産で、回収できない売掛金債権がある場合に、掛金総額の10倍・最大で8,000万円の貸付けを受けることができます。
しかも、この貸付けは、無利子です。
経営セーフティ共済のメリット
もともと経営セーフティ共済は連鎖倒産を防止するための制度ですが、倒産リスクに備える以外にも、次のメリットがあります。
- 支払った掛け金は、全額必要経費に計上できる(節税対策)。
- 積み立てた掛金は、納付月数が40か月以上になれば、任意解約で全額返還される(将来の資金確保)。
節税&貯蓄の2つを兼ね備えた共済制度、それが経営セーフティ共済です。
本記事に関する免責事項
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