ひとり社長や小さな会社の場合、経理業務について、まず決めておかなければならないのが、経理を「誰が」「どこまで」やるのか、ということ。
今「経理を誰がどこまでやるのか」を決めたら、それがのちのちにまで影響を及ぼします。
決めなければ決めないで、それものちのちにまで影響します。
ひとり社長はどこまで経理をやるべきか?
経理業務はその性質から3つのフェーズに分けることができます。
A. 領収書やレシートを集め、保管する。
B. 資料のデータ化をする。
C. データをチェックする。
そして、「誰がどこまでやるのか」の振り分けは、次の3パターンしかありません。
- 全部やる
- 部分的アウトソーシング
- 完全な丸投げ
ひとり社長の場合、「誰が」は「自分」です。
自分がどこまで(もしくは、どのフェーズを)やって、何を税理士事務所に任せるかを決めます。
1. 全部やる
A. 領収書やレシートを集め、保管する。
B. 資料のデータ化をする。
C. データをチェックする。
AからCまでの3フェーズすべてを社長がやるのはもちろんのこと、これらに加えて「決算処理・申告手続き」までのすべてを社長がやります。
社長であるあなたが、すべてを把握・管理することができます。
その一方で、専門知識を求められる「決算・申告」がネックになってしまうことが、想定できます。
2. 部分的アウトソーシング
自分ではどうしてもできないことに限って、外部に委託します。
外部委託先は、基本的に税理士事務所です。
たとえば、AからCまでの3フェーズは自分でやるが「決算・申告」だけ委託する、といった具合です。
部分的アウトソーシングで注意しなければいけないのは、委託先の税理士事務所が「何をやっているのか」をしっかり把握する必要があるということ。
ニュースになるような脱税事件のなかには「税理士が勝手にやっていた」なんてケースもあるので、委託したら「あとはお任せ」というのは、絶対にダメです。
現実的には、この1から3のなかでは「2.部分的アウトソーシング」が最善でしょう。
ただ、顧問契約を結ぶときには、契約範囲がどこまで及ぶのか、しっかり確認してください。
場合によっては「税務調査は別払い」なんてこともあって、それが金額的に一番インパクトがあったりします。
3. 完全な丸投げ
領収書やレシートなど資料の保管もグチャグチャ・・・そんな資料を全部まとめて税理士事務所に「ハイ、お願いします」と渡して終わり、これが「完全な丸投げ」です。
資料はキチンと整理していても、渡したら後のことはノータッチであれば、大差ありません。
税理士事務所へ経理を丸投げするメリットは、
- 資料を集めておくだけで何もやらなくてイイので、とにかくラク!
逆にデメリットはと言うと・・・
- 自社の経理がまったくわからない、わからなくなる(実質、税理士の言いなり状態)。
- テキトーだから、ヌケ・モレが必ずある。
- キャッシュフローの考え方や節税の知識などが身につかない。
このデメリットを甘く考えていると、
- ビジネスが数字にどう表現されているのか、わからない。イ
- イ数字とは何か、悪い数字とは何か、わからない。
結果、『一生、数字がわからない』ことになります。
この『数字がわからない』というのは、自分のビジネスが自分事ではなく、他人事にしてしまいます。
要は、税理士にお任せで、何が起こっているのかを自分で理解できていない、(社長・経営者なのに)そんな状況に身を置くことになるのです。
丸投げOKな税理士事務所とは・・・
経理の丸投げをOKとしている税理士事務所はたくさんあります。
税理士事務所の勤務経験から言わせてもらうと、一から作業できる丸投げは、作業量は多いけど、結構ラクなんです。
実は、途中から税理士事務所で引き継いで作業するとか、チェックするとかの方が、その会社ごと(独自)のやり方・ルールもあるので、神経も使うし、意外と大変です。
丸投げを推奨している税理士事務所の特徴は、
- 料金が割安・格安。
- 当たり障りのない処理。
- (質問に対して)あいまいな回答をする。
- 説明力がまったくない。
- 提案力がまったくない。
なぜ上記のような特徴があるのかと言うと「仕事の数(件数)をこなさないといけないから」です。
とにかく間違いだけを犯さないようにして、次から次へと数を「こなす」ことを最優先にしているので、1社に対して時間をかけることができません。
こういった税理士事務所と顧問契約を結ぶことはもちろん、スポットでも仕事をお願いするのは、避けるべきです。
最終的に「高くつく」可能性が高いですから。