節税のためにも「保険を!」と税理士に薦められたら・・・

 

法人が加入する保険は、返戻金(解約返戻金)をアテにしているものが多く、これは個人で加入する保険とは異なる特徴です。

  • 退職金の準備
  • いざというときのための備え

を(保険会社の営業トークでも)謳っている保険がそのほとんどで、これらの保険は、返戻金が高ければ高いほど「貯蓄性の高い保険」と言われています。

これは、保険料を支払うことで積み立てをしているといったイメージで保険をとらえているからです。

 

人気がある保険は、全額損金タイプの保険。

人気の理由は、、、

  • 支払った保険料の全額が損金として、経費計上ができる。

さらに、

  • 貯蓄性もある。

わかりやすい表現をするなら「お得」に感じる保険だから人気があるわけです。

節税を理由に保険に入るべきか?

全額損金タイプの返戻率は、大体50%~90%ほど。

返戻率50%~90%ということは、逆の見方をすると、支払った保険料の10%~50%は戻ってこないということです。

とすると、返戻金をアテにして(貯蓄性を重視して)保険へ加入するのは、考え方としてチョット無理があります。

※「支払った保険料の10%~50%は戻ってこない」 ⇒ この戻ってこない分は、単純に、保険会社の収入です。

 

全額損金タイプは、支払う保険料が割高である傾向が見られます。

なぜ、割高なのか?

それは、保障内容が手厚くなっているからです。

「手厚い保障が受けられるなら、割高でも仕方がない」のかもしれませんが、実際問題そこまで手厚い保障が必要なのかどうか、これはちゃんと考える必要があります。

さらに、保険を解約するまでは、決められた保険料を毎年毎年支払い続けなければならないわけですから、今だけではなく、将来のお金のことも加味して、保険を考えなければなりません。

お金を失うだけの保険加入

通常、保険料を支払い続ける期間の後半に、解約返戻金のピークはきます。

「資金的に苦しくなったら、解約すればイイ」と考える経営者もいますが、大抵の場合、早い時期で解約すれば、あなたは大損をこうむり、保険会社が儲かることになります。

これらのことから、全額損金タイプの保険は、(実は)貯蓄性が低い保険で、ただ単に高額の保険料を支払っているだけ・・・になる可能性が非常に高いのです。

 

全額損金タイプではない、

  • 1/2損金タイプ
  • 1/3損金タイプ etc.

これらの保険のなかには、返戻率が100%に近い保険もあります。

こういった保険は「全額損金タイプ以上に貯蓄性が高い」ので、その返戻金を目当てに保険の加入を検討する経営者がいるのも当然です。

逓増定期保険の注意点

このタイプの代表的な保険は「逓増定期保険(ていぞうていきほけん)」です。

逓増定期保険の特徴は「ピーク時の返戻率が高い」ことです。

ただし、ピーク時の返戻率の高さと引き換えに、ピーク時以外の返戻率はかなり低く抑えられています。

※ピーク時を過ぎると返戻率が徐々に下がっていき、保険期間満了時には解約返戻金が0になります。

よって、保険加入から短期間で解約してしまうと、これも大損する保険です。

 

もし、逓増定期保険に加入するなら、入念に資金計画を立てる必要があります。

キャッシュフローの悪化により、どうしても保険を解約せざるをえない状況になったとしたら、それは、保険会社だけが儲かり、あなたが損を負担することを意味しているわけですから、十分な資金繰りが見込める状況でなければ、逓増定期保険への加入はキケンなのです。

保険で退職金を準備することは正しいのか?

節税目的の保険は、支払保険料相当額が損金になることに着目した、合法的に「利益の繰延べ(利益の先送り)」ができる商品です。

ただ、あくまでも「利益の繰延べ」をする商品なので、解約時には相当な利益(=解約返戻金)が出てしまいます。

そこで、解約返戻金を役員等の退職金に充てるのが、一般的な考え方です。

これは「役員や従業員の退職金の準備に!」という保険会社の営業トークや税理士のアドバイスが大きな要因です。

「退職金の準備」と言われると、たしかにそれは正しいことのように聞こえます。

でも、本当にそうでしょうか?

保険料を支払って退職金を準備する・・・この場合、いくらの資金流出(保険料の支払い)と引き換えに、いくら節税できるのか。

そして、手元にどの程度の資金が残るのか、シミュレーションが必須です。

実際、わずかな金額の節税のために、相当額の資金を失っているケースが多くあります。

そして、節税のために保険に加入することなどせずに、素直に納税をしている方が「手元資金は多く残る」なんてことが、ざらにあるのです。

あなたの保険加入の目的は?

手元資金を削って心もとない状況にしてまで、保険に加入することに意味があるのか、、、税理士や保険会社から話がもち込まれたら、なぜ、保険に入るのか、是非考えてください。

保険へ入る目的が「節税」だとしたら、それは、資金不足に悩まされる経営に、一直線に進んでいく第一歩かもしれません。

 

本記事に関する免責事項

本記事は、節税や会社経営、ビジネスに関する一般論および仮定の話を読者に紹介する目的で執筆しているため、法令等の文章、文言をそのまま再録しておりません。

また、弊社は本記事が可能な限り、信頼性の高いものとなるように努めておりますが、内容の適法性、現行の法令との整合性、特定目的への適合性、真実性、適時性、完全性、網羅性、正確性を含め、いかなる保証も致しません。万一これらの情報に誤りがあった場合でも、弊社は一切の責任を負いかねます。

また、これらの情報をお客様がご利用することにより副次的に発生したトラブルや損失についても同様です。

本記事を通して提供されている情報は、税務その他の専門的かつ個別的なアドバイス・サービスとして用いられるものではございません。また、それらに代わるものでもございません。

弊社は、いかなる者に対しても、その原因の如何を問わず、本記事の利用から生じるいかなる損害についても責任を負いません。

税務につきましては、顧問税理士または、最寄りの税務署等に直接お問い合わせ、ご相談ください。