「決算セール=在庫処分」というイメージをもっていませんか?

決算セールって、やる意味あるの?

 

「決算セール」「在庫処分」と書かれたチラシや店頭ののぼりをよく目にするので、このイメージが強いのは当然です。

でも、決算セールは、単なる「在庫処分」ということだけのものではありません。

値引き販売の事実をつくる節税策

実は、決算セールは、在庫を安い価格で販売し、「その金額で販売をした」という事実をつくることで実現できる節税策でもあるのです。

これは、決算時に「原価割れ販売」をすることによって、棚卸資産の評価「損」を計上する手法です。

決算セールによる節税のポイント

決算セールによる節税のポイントは、在庫の評価方法にあります。

在庫の評価方法は「原価法」と「低価法」の2つです。

  • 原価法は、購入(仕入れ)価格を在庫の金額とする方法。
  • 低価法は、時価が原価よりも下落している場合に、期末時点での時価を在庫の金額とする方法。

低価法は、時価を在庫金額とするので、時価が下がっていれば、含み損を当期の経費として計上できる、、、これがメリットになります。

ここでの時価とは(法人税基本通達5-2-11により)正味売却価額のこと。

よって、決算セールにおいて値引き販売をしたのであれば、その販売価格が「正味売却価額=事業年度終了時の通常付される価額(法人税基本通達5-2-11)」となります。

決算セールによる節税策の問題点

問題は、取得価額(購入価格、仕入れ価格)よりも低い価格で販売しなければ、低価法の恩恵を受けることができない・・・つまり、原価割れでの販売が必要だということです。

不良在庫の処分を目的としているのであれば、決算セールも悪くない手法ですが、低価法の恩恵を受けることが目的なら、決して良いと言える手法ではありません。

節税目的で原価割れ販売をする行為、、、これは「原価割れ=赤字」なわけです。

売上を増やそう、利益を増やそうとビジネスしているはずなのに、自ら赤字になるようにビジネスをしていくというのは、本末転倒ですよね。

しかも、原価割れ販売は、本末転倒な行為であるだけではなく、税務否認される可能性を含んでいます。

低価法適用のための注意点

棚卸資産(在庫)の評価方法は、届け出をしなければ、低価法ではなく、原価法が適用されます。

  • 原価法は、購入(仕入れ)価格を在庫の金額とする方法。

なので、わざわざ原価割れ販売を実施しても、届け出を忘れてしまったら、何の意味もありません。

低価法適用には、その事業年度開始日の前日までに棚卸資産の評価方法変更の届け出の提出が必要です(つまり、通常一年以上前からの準備が必要ということ。無計画な経営ではダメなのです)。

ただし、設立1年目の場合は、1年目の確定申告書(決算書)の提出期限までに届け出を提出すること。

また、現行の方法を採用してから相当期間を経過していない場合には、申請が却下される可能性があるので、注意が必要です。

税務否認のリスクを回避するなら、、、

ビジネスにおいて、原価割れでの販売は、本来あってはならないことです。

評価損を受けるためだけに、一部の在庫だけを原価割れで販売した場合は、悪質と判断され、税務否認の可能性が高くなります。

このようなリスクを回避するのであれば、原価割れでの販売ではなく、在庫の廃棄処分の検討も必要です。

節税目的の決算セールは、愚策!

実は、決算セールは、決算賞与と同様に(利益の調整目的・調整手段として)お薦めの節税策と言われています。

たしかに、目先の納税額(今、納める税金)だけを考えた場合には、悪くない手法なのかもしれません。

しかし、将来を考えたときには、愚かな策略となってしまう可能性が非常に高いです。

たとえば、価格を下げることがわかっていれば、安くなった時にしか買わないという人が増えちゃうとか・・・つまり、安易にやったことが、結果として、自分の手で自社の価値を下げることにつながってしまうわけです。

 

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